お運びをいただきまして、ありがとうございます。

今日は、私が30代で寄席デビューするに至った経緯をお話ししたいと思います。

小学生のときに落語を聴き始めた私。
中学、高校、大学、社会人と成長していくなかでも、CDやネットで落語を聴くことは多かったと思います。
そして、落語を生で聴いてみたいという憧れが徐々に強くなっていきました。

ところが心配症の私には、数々の不安材料が。

  • 入場券を上手に買えるか。
  • 落語初心者の自分に居場所があるのか。

・・・などなど。
他のお客さんから白い目で見られるのではと、ずいぶん心配をしたものです。

しかし、寄席に対する情熱はもはや抑えることができませんでした。
来る日も来る日も寄席について勉強し、ネットで情報をかき集め、ついに決意しました。

「2015年4月10日、末広亭に行って、末広亭友の会に入会し、昼席から夜席まですべて楽しもう!」

その日は、真打披露興行が行なわれる予定の日。
せっかく初めて行くなら、寄席のすべてを味わいたいと思ったんですね。
そこで、昼席は通常の寄席として楽しみ、夜席は披露興行を楽しみたい!と考えたわけです。
披露興行でおこなわれる「口上」も楽しみでしたね。

まぁ今考えれば、

寄席ってそんなに気合を入れて行くものなのか

と言いたいところではありますが(^m^)

デビュー当日はもちろん万全の体調でのぞみ、 結果的には十分に楽しむことができました!
師匠方を間近で見られた衝撃と感動は、決して忘れられません。

多くの不安を抱いていましたが、「まったく心配する必要はなかった!」というのが率直な感想です。
寄席は初心者でも気軽に楽しめるようになっているんですねぇ。

かなり落語を聴きこんで寄席に臨んだ私。
初回から、演目を一つ一つメモしながら聴きました!
以下がその日の記録です。まずは昼席から。

2015年4月10日(金) 新宿末広亭4月上席

昼の部

(仲入り)
金原亭竜馬 『?』
すず風にゃん子・金魚 漫才
桂藤兵衛 『浮世床・夢』
吉原朝馬 『?』
林家正楽 紙切り
金原亭伯楽 『芝浜』

この日は夜に真打披露が控えていたためか、昼席からにぎやかな様子。
私は勇気を出して、桟敷席の前のほうに陣取りました。

昼主任・金原亭伯楽師匠はなんと、『芝浜』を演ってくれました。

「なんかいい噺ないかなぁと思いましてねぇ。季節外れなんですが一つ。」
と言いながら師匠が夫婦の縁について語り出すと、

客席の空気が一変。

みんな、『芝浜』だと気付いたんですね。
伯楽師匠の人情味のある語り口に引き込まれ、客席が一つになるのが分かりました。

奥さんが亭主に、財布を拾ったのは夢だったと信じ込ませようと必死に説得する場面、
妻の愛情が伝わる熱演に、客席からはすすり泣く声も。かくいう私も、

涙をこらえきれませんでした(;_:)

あぁ、これが生の落語というものなんだと、デビュー戦で早くも思い知らされたのでした。

そしてそのまま居残り、夜席です。

夜の部

古今亭駒次 『初めての自転車』
柳家小菊 粋曲
三遊亭天どん 『新作』
三遊亭歌る多 漫談
大空 遊平・かほり 漫才
三遊亭金馬 『長屋の花見』
柳家喬太郎 『コロッケそば』
マギー隆司 奇術
林家正蔵 『松山鏡』
柳家さん喬 『そば清』

(仲入り)

真打披露口上
笑組 漫才
林家木久扇 『彦六伝』
柳亭市馬 『芋俵』
翁家社中 太神楽
柳家小傳次 『粗忽の使者』

楽しみにしていた真打披露口上!

喬太郎、正蔵、木久扇、小傳次、さん喬、市馬

と、すこぶる豪華な師匠たちが並び、口上を述べます。
木久扇師匠のとんちんかんな口上に、喬太郎師匠と正蔵師匠が顔を見合わせてきょとん。
温かな口上でした(^m^)

そして主任は新真打の柳家小傳次師匠。

「皆さんの方が緊張してませんか??これでもアタシ、10年以上やってますので!」

初めてのトリは緊張するものなのかなぁと思っていましたが、堂々の高座。
2階席が開く盛況ぶりでした。

狙い通り、寄席デビューの日に「口上」という貴重なものを見ることができ、披露興行ならではの豪華な顔ぶれも存分に楽しめたのでした。

皆さんも、ぜひ寄席に足を運んでみてくださいね。きっと満足するはずですよ(^^)