お運びをいただきまして、厚く御礼を申し上げます。
今日も一席お付き合いを願っておきます。
落語入門シリーズは前回、噺の構成というテーマに入りました。
噺というのは普通、マクラ・本題・オチ(サゲ)の3つで構成されています。
今回注目するのはオチ(サゲ)です。
オチ(サゲ)とは何か、どんな種類があるのかをお話ししていきます。
それでは、まいりましょう!
オチ(サゲ)とは
落語のオチとは、噺の最後を締めくくるシャレや機転の利いたセリフのこと。
もちろん噺の本題も楽しいのですが、最後にどっと笑わせられたり、うーんと唸ったり。
オチは、噺の締めくくりとして大切な部分です。
実際、「この噺はオチありきで作られたんだろうな」と思う噺も多いですね。
そもそも落語という言葉は、落とし噺(オチのある噺)という言葉から来ています。
オチは落語の重要な部分ということがわかりますね。
しかし、「落ちる」というのは客商売には縁起が悪い。
そこでサゲ(下げ)という言い方も使われるようになったそうです。
それだけ重要なサゲですから、落語の専門家の皆さんはサゲを何とか体系的に分類してみようと試みてきました。
しかし実際のところ、すべてをきれいに分類するのはなかなか難しいようです。
天才と言われた上方の故・桂枝雀師匠は、すべてのサゲが
- ドンデン
- 謎解き
- へん
- 合わせ
の4つに分類できると考案されたのですが、あまりに天才すぎて、説明を聞いてもよくわからないというのが私の本音です^^;
誰かわかりやすく説明できる方、教えてください>_<
代表的なオチ(サゲ)の種類
ここからは、サゲの種類をいくつかご紹介しましょう。
上述のとおり、サゲに完全な分類法はないのですが、一般に知られている分類法で代表的なものを取り上げます。
地口オチ(にわかオチ)
いわゆる駄洒落をオチにする方法です。
たとえば『鰍沢』。
川に流されてしまった主人公が、一本の材木につかまりながらお題目(=お経)を唱えて何とか命拾い。
「ああ、たった一本のお材木(お題目)で助かった」
考えオチ
少し考えてからニヤリとさせられるオチです。
たとえば『親子酒』。
禁酒の約束をした親子が、どちらもベロベロになってしまって喧嘩になります。
「お前の顔はいくつにも見える。こんな化け物に家は継がせない」と言う父に対して息子が一言。
「俺だって、こんなぐるぐる回る家は要りません。」
逆さオチ
物事や立場が入れ替わるオチ。
たとえば『初天神』。
わがままな息子をしぶしぶ初天神に連れて行った父だが、息子のおねだりを聞いているうちに自身がすっかり夢中で遊んでしまい、息子が一言。
「こんなことなら、親父なんか連れてくるんじゃなかった。」
仕草オチ
言葉ではなく仕草がオチになっているもの。
たとえば『死神』。
主人公が自分の寿命を表わすろうそくを長くするよう試みるが、結局火が消えてしまう。
演者が高座でバタッと倒れる仕草をして主人公の死を表現する。
その他のオチ
ほかにも、間抜けオチ、途端オチ、仕込みオチなど、さまざまな種類が存在しています。
実際には1つのオチがいくつかの種類にまたがっている場合もあるので、正確な分類は難しいと思います。
それでも、この噺はどんな種類のオチかと考えてみると楽しいものです。
また実際には、オチらしいオチを言わない噺も数多く存在しています。
その場合、「○○という一席でございました。」とか「ちょうどお時間でございます。」などと言ってサゲます。
オチも本当にいろいろなんですね。
落語界初の「ばいばいオチ」誕生?!
ちなみにオチと言えば、以前に伊集院光さんがテレビで話していたエピソードが思い出されます。
伊集院さんは元々落語家志望で、三遊亭楽太郎(現6代目円楽)師匠の弟子でした。
そんな伊集院さんは前座時代に、大師匠にあたる5代目・円楽師匠が高座に上がる前、緊張のあまり普段よりも前の方に座布団をセットしてしまったそうです。
その日「死神」を高座に掛けた円楽師匠。
最後にバタッと倒れる仕草で噺をサゲて終演、そのまま伊集院さんが緞帳を下げると、
座布団が前すぎたせいで、緞帳がちょうど師匠の首のあたりに降りました。
その結果、なんと師匠の手と頭が客席側にはみ出てしまう事態に!
そこで円楽師匠、とっさの判断で客席に向かって
「ばいばい♪」と一言。
これが、落語界初の「ばいばいオチ」になったそうです。笑
まぁネタっぽいですが、面白い話ですね。
さて、噺のサゲについてまだまだ話したいのですが
ちょうどお時間でございます。
またのお越しをお待ちしております。