お運びをいただきまして、厚く御礼申し上げます。

同じ落語を聴くにしても、誰の落語を聴くのかということはとても大切です。

というのも、古典落語は同じあらすじで話しても、さまざまな個性が出るんです。
話し方、テンポ、間の取り方、表情、仕草が、人それぞれ異なります。

さらに、オリジナルのギャグや笑いどころ(=くすぐり)を入れる師匠もいれば、自分なりの解釈で、元の話とは随分違うストーリーにしてしまう師匠もいるのです。

では、いま誰の落語がおもしろいのか。
今日ご紹介する本は、専門家が本当に実力のある落語家を紹介しています!
この本です。

この記事では、この本のおすすめポイントをお伝えします。

信頼できる著者

著者は広瀬和生という方です。

この方は40年以上に渡って落語を聴き続けておられ、現在でも年間350回ほども落語会に行っているそうです。ということは、

ほぼ毎日落語会。

落語が大好きな私もさすがにドン引き 落語男子を自称するのが恥ずかしくなるほどです。

そんな広瀬先生はすでに落語関係の書籍を多く出されているのですが、この本では今イチオシの落語家を50人、適格な分析とともに紹介しています。

簡潔ながら的を射た紹介

50人のイチオシ落語家が、1人あたり3~4ページほどの簡潔な文章で紹介されています。
簡潔と言っても、その落語家の経歴やおもなエピソード芸風や得意演目を具体的に書いてくれています。

そして、50人のイチオシ落語家にそれぞれキャッチコピーを付けているのも興味深い点。
たとえば

  • 「エンターテイナー」 立川志の輔
  • 「開国派」 春風亭小朝
  • 「三位一体」 柳家喬太郎

といった具合です。

喬太郎師匠が「三位一体」ってどういう意味だと思いますか?
紹介文を読むと、とても納得できます。

バランスの取れた人選

50人は広瀬先生の独断で選ばれたものですが、とてもバランスが取れています。

落語協会・落語芸術協会・立川流・円楽党という4大会派すべてから選ばれていますし、上方からも二人入っています。
(基本的には江戸落語から選ぶというコンセプトなのでしょう。)

そして現役の落語家にしぼって選ばれていますから、生の落語を聴きに行くうえで役立つことでしょう。
(ただし談志師匠・喜多八師匠は記事が書かれたあとに亡くなりました。)

興味深いのは、この本が出版された2012年にはまだ二ツ目だった人も数人選ばれていることです。

その落語家とは、春風亭一之輔、三遊亭天どんなど、今となっては人気真打である人たち。
広瀬先生がとても鋭い人選をしていたことがわかります。

ちなみに私の敬愛する一之輔師匠のキャッチコピーは

「部室落語」です。

その意味は・・・どうぞ書籍をご覧ください^^

味のあるイラスト

紹介されるすべての落語家に、南伸坊先生が描いたイラストが付いています。

温かみのあるタッチで描かれた師匠方は、いずれもよく特徴をとらえていて、見ているだけでほっこりしてしまいます。

まとめ

どの落語家を聴きに行けばいいか知りたければ、この本をおすすめします。
この本で挙げられている50人は、だれを聴いても間違いないだろうなぁ、と私も思いました。
みなさんも、おすすめの落語家がいたらぜひ教えてくださいませ。

それではまたのお越しをお待ちしております。