お運びをいただきまして、厚く御礼申し上げます。
ここまで寄席に関する情報をシリーズでお伝えしてきました。
演目のジャンルについてもご紹介しましたが、寄席では実際どんな演目が演じられているのでしょうか?
CDやネットで聴けるのと同じ演目が聴けるのか、それとも寄席独特のものがあるのか。
今日は、そんな疑問に答える寄席のデータベースとも言える良書をご紹介しましょう!
こちらです。
どうしてこの本がオススメなのか、その理由をご説明いたします。
それではまいりましょう!
目次
どのネタがよく演じられているか、一目瞭然
この本のコンセプトの1つは、寄席で演じられた演目をデータとしてまとめることです。
筆者は実際に、末広亭のネタ帳を7年分借りてすべてを記録し、分析しています。
年代は2001年~2007年の7年間と少し古くはありますが、現在に通じる貴重な資料と言えるでしょう。
そして、
- 「寄席のネタ・ベスト30」
- 「トリネタ・ベスト20」
- 「前座ネタ・ベスト10」
など、さまざまな観点でデータをまとめて公開しています。
ですからこれを読めば、寄席で実際に聴けるネタを把握し、予習することも可能になのです。
これは寄席を愛する人にはとても貴重なデータベースになるでしょう。
各ネタを多く演じた落語家ランキング
有名なネタに関しては、どの落語家がよく演じているのかをランキングで公開しています。
たとえば、有名な『井戸の茶碗』を末広亭でもっとも多く演じたのは誰でしょうか?
そんなことを知ると、寄席への理解も深まってきます。
また、
- 「これまで一度も演じられなかったネタ」
- 「一度だけ演じられたネタ」
など、さまざまな角度での分析も載せられてます。
それぞれに解説文もついており、寄席のネタ事情にかなり詳しくなれると思います。
人気落語家へのインタビューと、演じたネタのランキング
本の後半は、インタビューを中心に書かれています。
柳家さん喬師、柳家権太楼師、三遊亭小遊三師など、現在も第一線で活躍する落語家11人へのインタビューです。
さらに、各師匠が演じたネタを回数順にランキングして紹介しています。
ですからこれを読んでから寄席に行けば、
「あ、師匠が得意とするあのネタだ!」
とか、
「この師匠がこの噺、珍しい!」
というような楽しみ方もできるわけですね。
古今亭志ん朝師匠の最後の高座を解説
今や伝説の落語家である古今亭志ん朝師匠ですが、この本では師匠の末広亭での最後の10日間の高座についてじっくり解説する章があります。
亡くなっても今なお人気の志ん朝師匠。
その現役最後期の高座について知ることのできる、貴重な資料です。
信頼できる著者
著者は長井好弘さんです。
長井さんは落語など芸能の評論家として有名で、落語関係の書籍も数多く執筆しておられます。
読売新聞社の記者でありながら、浅草芸能大賞専門審査員などの肩書きもお持ちなんですね。
落語界が信頼するこの著者だからこそ、末広亭から7年分ものネタ帳を借りることができたのでしょう。
師匠方とのインタビューが実現したのも、長井さんだったからこそだと思います。
まとめ
私自身、寄席デビューをするに当たって、またデビューした後も、この本をたびたび開いています。
やはり、寄席でどんなネタがポピュラーなのか知ることができたのは大きかったですね。
有名なネタは一通りCDやネットでチェックしてみよう!なんてこともできるわけです。
もちろん、寄席では基本的にトリ以外は持ち時間が短いですから、ネタには偏りもあるでしょう。
それでも、有名な落語ネタはかなり網羅されているはずです。
どうぞ良ければご覧になってみてください。
きっと、寄席に行くのが10倍楽しくなりますよ(^^)