お運びをいただきまして、ありがとうございます。

前回は、初心者でも心配せずに寄席に遊びに行ける、ということをお話ししました。
今回はさらに安心していただくべく、寄席の流れについてお話ししましょう。

寄席は途中入場も途中退場もおおいに結構なんですが、せっかくですから最初からおしまいまでゆっくり遊んでみるのはいかがでしょう?

ちなみに新宿末広亭では昼の部と夜の部の2部構成になっていますが、入れ替えがないため、一度木戸銭(入場料)を払えば昼夜通しで見られます!
なんと9時間も楽しんで3千円!こんなに安上がりな遊びは他にありませんね。

なんと1時間当たり、333円です。(←計算するな)

ちなみに昼の部と夜の部では出演者は違いますが、全体の流れは同じです。
それでは番組を概観してみましょう!

① 開口一番・二ツ目

幕が上がって最初に出て来るのは前座さんで、その高座を「開口一番」と言います。
「サラ口(さらくち)」とも言いますね。

初々しい駆け出しの前座さんの噺も良いものですよ。
しかし開口一番は、プログラム開始時間前に行なわれます。
前座の噺でお金は取らないという考え方だそうです。

時間があれば早めに行って、ぜひここから聴いてみましょう!
一生懸命な前座さんに、頑張れ、頑張れと、

お母さんのような気持ちになれるでしょう。

そして次に高座に上がるのが二ツ目です。

落語家の階級制度について以前にお話ししましたが、この寄席での上がり順(2番目)がそのまま階級名になったんですね。
前座・二ツ目は、爽やかな笑いで客席を温める役割を果たします。

② 落語や色物

続いて何組かの落語や色物が続きます。
1人15分ほどの持ち時間でテンポ良く。

「色物」というのは落語以外の芸をまとめて呼ぶのですが、漫才・漫談・マジック・紙切りなどさまざまです。
もともと落語以外の芸は、寄席の看板に赤い字で書かれたことから、こう呼ばれるようになったそうです。

落語ばかりでは疲れてしまいますが、色物さんが時々はさまることで長時間でも楽しめるんですね。

ちなみに私のお気に入りの色物さんは

林家ぺー師匠。

あの漫談は衝撃でした。これまではテレビで見て、ただの変わったおじさんだと思っていたのですが、違いました。
ぺー師匠は一流の漫談家です。かなり笑わせてくれます。
しかも頻繁に

「なるべく笑ってください」

などと促してきます。やっぱり一流は違います。

③ 仲入り前

4時間ほどの番組の間に一度だけある休憩を「仲入り」と言いますが、その直前の出番は重要とされています。
この出番のことを、「仲入り(前)」あるいは「中トリ」と呼びます。
(「中トリ」という言い方は本来なかったため、使うべきではないと考える師匠もいるそうです。)

「仲入り」の出番はその日の主任(トリ)に次いで重要なため、人気・実力を兼ね備えた落語家が上がります。
ここでトイレに行くのはもったいないので、もう少し我慢を!

④ 仲入り

仲入り前の高座が終わると同時に、「おなーかーいーりー」という声が掛かります。
休憩時間です。10~15分くらいでしょう。
お手洗いを済ませたり、お弁当を買ったりしましょう。

ちなみに表記は「中入り」でもいいのですが、人がたくさん入るようにと縁起を担いで「仲入り」の字が使われているそうです。

さて、仲入りが開けますと、いよいよ寄席の番組もクライマックスへと進んでいきます。

しかし!この記事も長くなってきましたので、こちらもここでお仲入りとさせていただきましょう。
続きはまた今度の記事でお話しいたします。

それでは皆さんご一緒にー、

「おなーかーいーりー。」

またのお越しをお待ちしております。