お運びをいただきまして、厚く御礼申し上げます。
今回は「おすすめの落語家」シリーズ。
取り上げますのは、私が寄席で聴いてすっかり虜になってしまった
柳家喜多八師匠でございます。
独特の芸風で玄人筋の評価も高く、私がもっとも好きな落語家の一人。
残念なことに2016年、66歳でお亡くなりになりました。
人間国宝・柳家小三治師匠の弟子である喜多八師匠。
あまりに早すぎる死は多くのファンが悲しみましたが、弟子に先立たれた小三治師匠もさぞ無念だったことでしょう。
今となっては映像や音源で楽しむことしかできなくなってしまいましたが、ぜひ皆さんに知っていただきたい師匠です。
それでは経歴からご紹介します。
昭和52年 10代目柳家小三治に入門
昭和53年 前座になる。「小より」
昭和56年 二ツ目に昇進。「小八」に改名
平成5年 真打に昇進。「喜多八」に改名
平成28年 がんにより死去。66歳。
なんと喜多八師匠、落語家としては異色の
学習院大学卒
でございます。
そうです。皇族も通うあの学習院大学です。
お坊ちゃんだったんでしょうね。
その学歴ゆえに喜多八師匠の愛称は
殿下。
じつに落語家らしからぬ愛称です(^m^)
しかし実際、趣味が宝塚歌劇団の鑑賞であることなど、殿下の名にふさわしい高貴な一面も。
そんな「殿下」の芸風ですが、高座にあがるとまずぼそぼそと喋り出し、やる気のなさそうなマクラを語ります。
「自分は虚弱体質である」
とか
「虚弱体質だから、落語に力が入らないのは仕方ない」
とか。
初めて聴いたときは、なんだこの人は。。。と不安になりました^^;
しかし!いざ本題に入ると徐々に声も大きくなり、その熱演にすっかり引き込まれてしまいます。
さすが小三治師匠の弟子と思わされる本寸法な高座。
あえて喋らずに身ぶりだけで伝えるところを作ったり、さまざまな噺のテクニックで客席を爆笑の渦に。
噺が終わるころには、すっかり虜になってしまうというわけです。
「清く、けだるく、美しく」が座右の銘の喜多八殿下。
(さすがは宝塚ファンですね(^m^))
けだるく始まったはずが、終わるころには熱気たっぷりというギャップが魅力の師匠です。
殿下の得意とする噺は
- 『だくだく』
- 『二番煎じ』
- 『ぞめき』
- 『鈴ヶ森』
- 『たけのこ』
などなど。
私はとくに、『鈴ヶ森』に爆笑しました。
新米泥棒のマヌケさが本当に可笑しくて。
私はそのときから、現役の落語家では喜多八師匠がうまい!と思っていました。
しかし2016年、師匠は亡くなってしまいました。
とてもショックでした。
虚弱体質はネタだけにしていただきたかった(ノД`)
もっともっと生で見たかったです。
2017年春には、喜多八師匠のお弟子さんである柳家ろべえさんが真打に昇進しました。
そして高座名も「ろべえ」から「小八」に改名。
喜多八師匠の二ツ目時代の名前です。
昇進披露興行では、喜多八師匠を想う仲間たちの涙ながらの口上もあったとか。
本当に愛されていたんですね、喜多八師匠。
小八師匠も殿下のお弟子さんだけあって実力があります。
今後は小八師匠の活躍に注目ですね。
それでは、またのお越しをお待ちしております。