毎度お運びさまで、ありがたく御礼申し上げます。

さて、落語演目のジャンルを2回にわたってご案内してまいりましたが、今日はその続きです。
さっそく、まいりましょう!

⑨ 艶噺(バレ噺)

落語の方には色っぽい噺もございます。
もっとも、そこは江戸落語。
基本的にはそれほど露骨なものではなく、上品におもしろおかしく演じるわけですが。

  • 『紙入れ』
  • 『短命』
  • 『風呂敷』

このあたりになるでしょうか。
とくに『紙入れ』は頻繁に演じられている気がします。
要は不倫現場がバレそうになってしまうという話なんですが笑
今も昔も、こういうことは変わらないもんですなぁ。
落語の方ではたいてい、血なまぐさい修羅場が訪れるなんてことはないんですが、

現実はそう甘くないでしょう。

「人の女房と枯れ木の枝は 登りつめたら命懸け」なんてことを申しますし^^;

⑩ 廓(くるわ)噺

こちらも色っぽい噺なのですが、 吉原などの遊郭を舞台にした噺になります。

  • 『三枚起請』
  • 『品川心中』
  • 『明烏』
  • 『お直し』

などが有名です。
現在では遊郭はなくなってしまいましたが、色恋沙汰というテーマは永久不変。
そして、遊郭という歴史を感じる舞台が、落語の情緒を高めてくれます。

『三枚起請』も『品川心中』もそうなんですが、廓噺には男女の騙し合いが多いんですね。
これも、今も昔も変わりません。
そしてたいてい、騙されるのは男なんですなぁ^^;

ですからこういった噺を聴くと、
「あぁ男ってのは騙されやすいんだ。もう騙されちゃいけない、気を付けよう。」
と思うんですが、

やっぱり騙される。

はい、男とはそういうものなんです。

⑪ 人情噺

こちらはガラッと変わって、しんみりとする人情噺です。
落語は、おもしろい噺だけではないんですね。

  • 『芝浜』
  • 『文七元結』
  • 『子別れ』

このあたりがよく演じられます。
もちろんこういった感動的な噺でも、随所に笑いどころもあるものです。
とくに『芝浜』は有名な演目ですね。
夫婦愛がよく表現された名作です。
DVDなどで見ても感動するんですが、私は初めて寄席で聴いたとき、あまりの感動に

本当に泣いてしまいました。

これが生の落語の力なんだと思いました。

だからこそ、皆さんにも生の落語を聴いていただきたいと思っているのです。

⑫ 怪談噺

さぁ最後は怪談噺です。

  • 『死神』
  • 『お菊の皿』
  • 『へっつい幽霊』

このあたりが有名どころでしょう。
とくに有名なのが『死神』です。
グリム童話がもとになっているので、どこかで聴いたことがあるストーリーかも知れません。
寿命を延ばすためにロウソクをつぎ足す、あの話です。

ちなみに私は中学生のころに、柳家小三治師匠の『死神』をCDで聴いて、

あまりに怖くて小三治師匠がキライになった

のを覚えています^^;
もちろん、今では大好きな師匠の一人ですが

そして『死神』は本来、そこまで本気の恐い噺ではなく、楽しく、かつシニカルな噺です。
まだ子どもだった自分には、死神の声が恐ろしく感じてしまったんですねぇ。

そしてこの『死神』は、「仕草落ち」という珍しいオチで終わることでも有名です。
セリフではなくて仕草でサゲるわけですね。

まとめ

これまで3回にわたって、演目のジャンルをご紹介してきました。
しかし、ジャンルはまだまだたくさんあります。
たとえば旅の噺、動物が出てくる噺、芝居噺などです。

さらに、どのジャンルにも属さないような唯一無二の名作も多く存在しています。
ですから、演目をすべてジャンルに分ける必要もないんですね。
なんとなく、こんなジャンルがあるんだと知っていると楽しい、というお話でした。

さて、このシリーズでは今後、寄席の番外編の楽しみ方をご紹介していきたいと思います。
またのお越しをお待ちしております。