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皆さんは、「古典落語」・「新作落語」という言葉をお聞きになったことがありますか?
落語の演目を分類するための用語ですね。

もちろん「古典」は古い演目、「新作」は新しい演目のことなんですが、その違いはどのように定義されているのでしょうか?

この記事では、2つの観点から「古典」と「新作」の違いをご説明いたします。

作られた時期による分け方

人によって説明が多少異なるのですが、

「大正時代までに作られた演目が古典、昭和時代以降に作られた演目が新作」

あるいは

「戦前に作られた噺が古典、戦後に作られた噺が新作」

このいずれかの考え方が多いようです。
古い演目は江戸時代から語り継がれているんですから、落語って本当に由緒ある芸能ですよね。

一方で新作派の落語家は、今も精力的に新作落語を作りつづけています。
現代的な設定や笑いを取り入れた新作は、古典とはひと味違った楽しみを与えてくれます。

演じ手の数による分け方

新作というのは誰かがオリジナルで考えた噺のことですから、基本的には当人しか演じません。

しかしそれが良い噺であれば、「アタシも演りたい!」という落語家が出てくるものです。
その場合、作者の承諾を得られれば、他の落語家もその噺を演じられるようになります。

そうして演じ手が増えていくと、最初は新作落語だった噺が、徐々に定番化して古典落語になっていくというわけですね。

そんなことから落語家の中には、

「演じ手が二人以上になったらその噺はもう古典である。」

という師匠もいます。

結局、明確な基準はない

「古典」か「新作」かは上記の2点が関係してくるので、じつは曖昧な部分もあるものです。

江戸時代からある噺などは明らかに古典と言っていいでしょうし、最近作られた噺で当人しか演じていなければ明らか新作でしょう。

しかし、数十年前に作られた噺でだんだん演じ手が増えてきている噺などは、古典か新作か微妙なところということになります。
ですので、「古典」と「新作」は落語家もよく使う言葉ではあるのですが、明確な基準があるわけではありません。

結局「古典」と「新作」の違いは、簡単に言ってしまえば

語り継がれて定番化している噺か、そうでないか

ぐらいのニュアンスで大丈夫でしょう。

「じゃあここまでの長い説明は何だったんだ!」って?

たしかに。。。

まぁそのあたりの曖昧さも、

落語という芸能の懐の深さ

と考えていただければ幸いです(*´艸`*)