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落語家は3~5年の前座修業が終わると、「二ツ目」という階級に昇進します。
この二ツ目は落語家の成長にとって重要な時期と言われているのですが、それはどうしてでしょうか?
前座や真打との違いにも注目しながら、二ツ目について解説していきます。
二ツ目とは
江戸落語において「二ツ目」とは、前座に次ぐ2番目の階級のこと。
「二ツ目」という言葉の由来も、前座の次(2番目)に高座に上がるからだと言われています。
(他の説として、ダルマに2つの目を入れられるほど芸が成長したからというのもあります。)
前座と二ツ目には大きな違いがあります。
おもな違いとして、二ツ目になると
- 寄席での雑用から解放される
- 羽織や紋付き・袴を着ることができる
- 自分だけの出囃子を持つことができる
このような違いは、二ツ目が一人前の落語家として認められることを意味しています。
もちろんまだ真打ではないので、寄席のトリを勤めたり弟子を取ったりはできませんが、もう修行の身ではありません。
落語家のインタビューを聴くとたいてい、「真打になるときよりも二ツ目になったときの方が嬉しかった」と言います。
前座修業からの解放は本当に嬉しいんですねぇ。
もしや、先輩による陰湿な前座いびりがあるのでは?!
いやいや、そんなことないですよね(^m^)
落語家にとって二ツ目はどんな時期?
二ツ目になると毎日寄席働きをしなくて良いので、自由な時間が増えます。
この自由な時間をどう使うかが、良い落語家になれるかどうかの分かれ道になるようです。
二ツ目の多くは、落語の稽古はもちろんですが、ほかにもさまざまな習い事をします。
たとえばお囃子や踊り、長唄、笛など。
このような素養があると、のちに芸に幅を持たせることにつながります。
また、場を盛り上げる余興ができる芸人としても重宝されるでしょう。
実際、所作のきれいな師匠が、じつは日本舞踊も得意というようなことはよくあります。
二ツ目時代の下積みは、後に大きな実を結ぶのです。
一方で、二ツ目になると楽屋働きがなくなる代わりに給金もなくなってしまうので、金銭的には厳しい面もあるようです。
(高座に対する報酬(ワリ)はあります。)
そこで二ツ目は、先輩真打の落語会に呼んでもらって落語をしたり、落語以外の仕事(司会業や余興など)に精を出します。
こういう苦労も、真打になったときに生きてくるんでしょうね。
二ツ目として過ごす期間は、平均して10年前後。
前座時代に比べて長いこの期間が、のちのち名人になれるかどうかを左右します。
「二ツ目時代に遊んで過ごすと、ろくな真打にならない」そうです。
誰のことかわかりませんが^^;
昨今の二ツ目ブームについて
じつは今、空前絶後の二ツ目ブームが来ています。
代表的なのは落語芸術協会の二ツ目ユニット「成金」。
春風亭昇々、柳亭小痴楽、桂宮治、神田松之丞(講談)など、超人気の若手がそろっています。
人気二ツ目の落語会はいつもチケット完売。もう大変な人気です。
私も好きでよく聴いていますが、みんな華があるし面白いですね。
これからどんな真打になっていくのか、とても楽しみです。
まとめ
10年ほどある二ツ目の時期は、一人前と認められながら、真打への下積みも行なう重要な期間。
気になる二ツ目を見つけると、落語家の成長を見届けるという楽しみができ、落語をいっそう楽しむことができますよ。