お運びをいただきまして、ありがとうございます。

ここまででご紹介したように、寄席というのは毎日同じ流れで、一年じゅう落語を聴くことのできる場所なんですね。
末広亭の場合は、10日間ごとに落語協会と落語芸術協会が入れ替わって興行を行なっています。

しかし!寄席には特別興行と言われるものもございます。
今日はそれを3種類ご紹介しましょう。
それぞれ、普段の寄席とは違った魅力がありますよ。

それではまいります!

余一会

まずは余一(よいち)会です。初めての方、念のためですが、

余一は人の名前ではありません。

さきに述べたとおり、定席寄席は10日間ごとの番組を組んでいます。
そうすると、31日まである月は1日余ることになりますな。
そこで各寄席が、31日に「余一会」という特別興行を組んでいるわけです。

余一会は、普段の興行とは異なる顔合わせや企画モノの番組が組まれます。
たとえば最近の末広亭では、

  • 柳家花録独演会
  • 柳家喬太郎・橘家文蔵 二人会

などが行なわれました。
また時には、普段は末広亭に出演しない会派を顔付けして、

立川流一門会

といった企画が行なわれることもあります。
普段とはひと味違う寄席の番組も、楽しんでみたいものですね。

正月初席・二之席

寄席は10日間ごとの興行を月に3本行なっており、上席・中席・下席と呼んでいます。
ところが1月だけは例外で、初席・二之席・下席と呼びます。

寄席のお正月は初席と二之席の20日間ということになっているんですね。
そしてその期間は、普段よりも多くの落語家が次から次へと出演し、短い持ち時間で噺や漫談をしていきます。

とくに初席のことを「顔見世興行」と呼ぶことからもわかるように、こ20日間は各協会を代表する落語家たちが総出演し、挨拶をしていくんですね。
ですから、いっぺんにたくさんの人気落語家を見られるチャンスなんです。

末広亭の場合、初席は落語芸術協会が受け持ち、1日3部制にして午前中から興行を行なっています。
そして二之席は落語協会です。昼トリが会長の柳亭市馬師匠、夜トリが人間国宝の柳家小三治師匠となっています。

その他、獅子舞などの縁起の良い出し物も行なわれ、お祭りのようなにぎやかさ。

ちなみにある師匠が、

「顔見世興行は酒を飲んで高座に上がるべし、というルールがある」

とおっしゃっていましたが、本当なんでしょうか(´艸`*)

真打披露興行・襲名披露興行

こちらもお祭り興行です。
真打に昇進した落語家や、名跡を継いだ落語家がトリを取る、披露興行ですね。
これらも本当におすすめです。
なぜならば、まず

協会幹部などの大御所が勢ぞろい

しています。
おめでたい興行ですから、大御所がそろって落語を披露します。とってもお得ですね。
そしてさらに!

「口上」という特別プログラム

が行なわれます。

これは仲入り直後に行なわれるのですが、新真打(あるいは名跡を襲名した人)とその師匠、協会幹部などが並び、順番に挨拶をしていくというものです。
各師匠が愛とユーモアを込めて口上を述べる様子はとても心温まります。(新真打本人は口上を述べません。)
そして最後は客席もそろって三本締めを行ないます。

ちなみに落語協会の幹部の1人は、笑点でおなじみ林家木久扇師匠で、口上にもよく並ばれます。

じつは木久扇師匠は協会の相談役という立場なのですが、

まだ一度も相談を受けたことがない。

と、寂しそうに話していました。誰か相談してあげてください。

そして新真打が初めてトリを取るときの独特の緊張感。
なぜか当人よりも客席の方が緊張したりします(´艸`*)

前座・二ツ目時代から応援していた人が真打に昇進する時などは、本当に感動するでしょうね。

まとめ

寄席では、普段と違う特別興行がときどき行なわれます。

とくに真打披露興行は個人的におすすめです。
じつは私自身、寄席デビューには真打披露興行の日を選びました。
その時の話はまたおいおいさせていただきますね。

またのお越しをお待ちしております(^^)